この度、京都市さんのテレビCM「健康長寿のまち・京都」を
納品させていただきました。
ここ10年ほど、巷でも盛んに言われている「健康寿命を延ばす」ということを
テーマとして頂戴し、CMをプランニングさせていただきました。
健やかに自分らしく生きていける期間を延ばすことは、
ご本人の幸せはもちろんのこと、
社会保障費などの増加も食い止め、
「世の中への貢献」にもつながるということ。
とても意義深いテーマであり、
僕ら働きざかりの30代も、いずれは必ず直面する題材です。
さて、通常テレビCMなどを使って「何らかのメッセージ」を伝える場合は、
■自信のある実績、スペックなど、
すでに「売り」となるポイントがある。
ということがほとんどです。
要は、「うちは、ここがこう、凄いんです。さあ皆さん見てください!」と
CMで伝えているわけですね。
例えば、昨秋オンエアになった
京都の市立高校や、京都市政報告書のCMでは、
豊富な実績・輝かしい取り組みの成果があるため、
「たぶん、京都の市立高校は、日本一すごい。」
というコピーを入れたり、
「アンタ、押し足らへんで。」
「『お前が世界一好きだ』って言われたの!」
などのセリフを書いて、
要は、見栄えのする、バキッと立つ言葉を
CMに入れ込むことができます◎
通常、こういった「言葉」の力でCMを
構成していくことが私は多いのですが、
(キャリアの根幹がコピーライターなので)
今回のお題は、
「まだ何の実績もありませんが、
これから、京都市はがんばっていきます…」
とだけ、“抱負(青写真)を述べる”ようなもの。
強気に、びしっとかっこいいコピーを入れられないのですよね(>_<)
CMとしての訴求力が失われるので、
はてどうしたものかと、頭をひねって考えた結果、
ポンと出てきたのが、
「(説明なしで)画を見ただけで、一発で
『街を挙げて、健康長寿を支えていく』
ということが伝わるものに」
ということ。
とかく、「健康長寿」というテーマの映像となると、
素敵なおじいちゃん、おばあちゃんの笑顔が出てきたりするのですが、
それだけでは、若い世代が
「自分ごと」として考えられないなと思いました。
10代、20代、30代の人にとっては
「それって、遠い先の話」のように思えてしまう。
「いやいや、皆で、街を挙げて、この課題に取り組んでいくんやで!」
ということを、くどくどと説明せず、
映像を見ているだけでイメージできるように――ということで、
「高校生の奏でる見事なクラシックで、
バックを支えます!」
と提案させていただきました。
社会的に非常に重要なテーマのCMとは言え、
(=コメディとか、笑いにはしにくい。)
ちゃんと「エンターテインメント」になっていないと、
視聴者さんに見る気になってもらえないので、
その制約の中で、少しでも足掻けたら、と思いました。
今回、主演としてご協力くださったのは、
京都市内にお住いの、栗田緑さんと、井上俊子さん。
何と、、、お2人とも90代でいらっしゃるのに、
背筋をピンと伸ばして、シャキッと立っておられ、
撮影前の控室でも、終始笑顔で、気さくに接してくださいました。
こんなにも、「会った瞬間、『この人、好き!』と思わせる」方は
なかなかいないと思います。
出会ったら、誰もが虜になってしまうお2人。
私が書いたむちゃな企画に、イヤな顔ひとつせずに、
終始にこやかに、お付き合いくださいました。
こういったお人柄や、お顔の年輪(素敵なしわ)は、
「今までの、人生」がそのまま表れているものだと思います。
僕らの世代とは異なり、
大変な出来事(時代)をたくさん乗り越えて、
今、周りの皆さんから愛されて、ここにいらっしゃること。
その偉大さを考えた時、心が震えました。
人を精一杯愛し、そして愛されること。
「生きる」とはすなわち、そういうことだなと思いました。
お2人のチャーミングな笑顔は、
それら全てが凝縮したものだと、モニターを見ていて感じました。
そして、脇を固めたのは、京都の“財産”である、
堀川音楽高等学校の皆さん。
チャイコフスキーの「弦楽セレナード 第2楽章」を
演奏してくださったのですが、
リハーサルの時から完璧な音色を聞かせてくださり、
スタッフ一同、「今日はいい撮影になるなぁ」と予感したのでした。
あまりに演奏が完璧なので、
CMをご覧になって、「これ、CDの音源流してるんじゃないの??」と
思った方もいらっしゃるかもしれませんが、
もちろん、「その場で、皆で録音」したものです^^
レコーディングを始めて一発目から
完璧だったので制作サイド的には
すぐに「OK」を出しました(笑)
もちろん、厳しい受験を通じて
全国から選りすぐられた精鋭たちですので、
これぐらいは「当然」と思いながら弾いてらっしゃるでしょうが、
「(音楽に関して素人の)監督ごときに、
一発OKを出させずして、どうするねん。」
という、プロフェッショナルな意識の高さをビッシビシ感じました◎
元から上手い生徒さんたちとは言え、
きっと、この撮影で、一発で良い演奏ができるように、
完璧に仕上げてきてくださったのだなと。
撮影の休憩中に、
ヴァイオリンとチェロの男の子が、超絶技巧の楽曲をセッションしたり、
女の子たちは、ステージできゃっきゃ飛び跳ねまわったり、
「ど、どんだけ元気やねん…(゜□゜)!!」
と、10代の子たちの“エネルギー持て余してる”感に
唖然としていましたが(笑)、
あの「天真爛漫さ」の陰に、高いプロフェッショナリズムを感じて、
心から感嘆しました。
「まるで、努力など1mmもしていないかのように」、
さらっと完璧に披露する。
大人になっても、それを実現するのはとても難しいことですが、
10代にして、そんなマインドを身につけているこの生徒さんたちは、
文字通り、社会の“財産”だなと感じました。
やっぱり、「京都の市立高校は、日本一すごい」んです(笑)
今回は、楽曲の選定、音楽監修につきまして、
堀川音楽高校の藏野先生、大畑先生に
多大なるご協力をいただきました。
本当に、ありがとうございました。
また、「高校生たちのクラシックに乗って、ステップを踏んでくださる
素敵なおじいちゃん、おばあちゃんいらっしゃいませんか??」
という凄まじく、身勝手なオーダーに、
たった2日間で、完璧に答えてくださった、
石井さん、當麻さん(ビハーラ十条)、
そして、高柳さん、桐野さんに
心から感謝申し上げます。
どこでどうやったら、あんな素敵なおじいちゃんおばあちゃんを
「CM出演」までご快諾いただいた上で、
お連れいただけるんですか…!!
これまで、お仕事の接点があったわけでもないのに、
今回「いいよ!」と二つ返事でご協力くださった
皆さまの“さりげないマジック”がたくさん炸裂した上に、
この30秒間は成り立っております◎
「自分も、こんな風に生きられたなら」
「こんな街になっていきたい」
そんな気持ちを込めて、作らせていただきました。
本日より、ゴールデンタイムを中心に、
毎日複数回、KBS京都にてオンエアされます。
「テレビから、クラシックが流れてきたら」
ぜひ、一瞬だけお仕事の手を止めて、ご覧になってやってください^^
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■【京都市公式】こんな風に年齢を重ねたい「健康長寿のまち・京都」
●出演:栗田 緑さん、井上 俊子さん(京都市在住)
京都市立京都堀川音楽高等学校の皆さん
<1st Violin>
岩﨑 朱里さん
田中 美沙希さん
田村 紗矢香さん
秋田 佑里香さん
<2nd Violin>
玉井 元さん
梅田 真叶さん
中川 桜さん
下野 凛さん
<Viola>
加藤 光貴さん
山田 千春さん
<Cello>
石井 奏さん
雲竜 笙子さん
平井 美帆さん
<Contrabass>
デピューリー 雪乃さん
●音楽監修:藏野 雅彦さん
(同校教頭 指揮者)
大畑 博貴さん
(同校音楽科主任 ピアニスト)
●撮影:坂口 周兵さん
<「ザ!鉄腕!DASH!!」「ロンドンハーツ」「シルシルミシル」など
地上波番組およびCMなど多数>
(タイムリー)
●ヘアメイク:山口 裕子さん
<ミズノ、teany、イオン、Pretty、WUAQ、NTT docomo、SANYO、
小林製薬、阪急3番街、岡本、ピーチアビエーション、
ニッセン、フェリシモ、オムロンなど多数>
●タイポグラフィデザイン:古島 佑起さん
<月桂冠、太平洋クラブ、大阪芸術大学、大阪大学、
奈良の芸術祭「はならぁと」などアートディレクション・デザイン多数>
(ことばとデザイン)
●アシスタントディレクター:岡田 昂大さん
●Special Thanks:石井 大輔さん、當麻 千智さん、
高柳 雄平さん、桐野 久仁子さん
●監督・企画・編集・コピーライティング・プロデュース:
秋山 理二郎 (第弐表現)
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いつも、素晴らしい腕で
映像を作り上げてくださる、
カメラの坂口さん、ヘアメイクの山口さん、
デザインの古島さんに
心から感謝申し上げます。
皆さんなくして、この映像は1秒たりともできません…(>_<)!
今年2月に、大正生まれの祖母が他界し、
「生きるとは、どういうことか」ということを
考えさせられた最中に、
このようなお仕事の機会をいただき、感無量でした。
こんなにも皆さんに愛されて、
元気に生活されている今回のお2人のように、
生きていけるのか…!?
これからは、自分たちが試される番ですね◎
社会を担っていく世代として、
もっともっと、がんばらんにゃあいけませんね(^ε^*)!!